日本商工会議所・東京商工会議所は3月28日、中小企業を対象とした「最低賃金および
中小企業の賃金・雇用に関する調査」の結果を発表しました。この調査は、物価、エネルギー価格等が高騰するなか、賃上げの状況、最低賃金の影響や改定への考え方等について、中小企業の実態を把握するために実施したものです。調査期間は2月1日~28日、調査対象は全国47都道府県の中小企業6,013社、回答企業数は3,308社(回答率:55.0%)でした。調査結果のポイントは以下のとおりです。
①人手不足の状況および対応
「人手不足」と回答した企業は64.3%で、昨年から3.6ポイント増加しています。業種別では「建設業」(78.2%)が最も高く、「情報通信・情報サービス業」、「運輸業」、「介護・看護業」、「宿泊・飲食業」で7割を超えています。
働く人にとって魅力ある企業・職場となるために実施・検討している取組みは、「賃上げの実施、募集賃金の引上げ」(66.3%)が最多となっています。
②2023年度の賃上げ
「賃上げを実施予定」と回答した企業は58.2%で、昨年から12.4ポイント増加しています。賃上げ率については、近年の中小企業賃上げ率(2%弱)を上回る「2%以上」とする企業が58.6%、足下の消費者物価上昇率を概ねカバーする「4%以上」とする企業が18.7%でした。
賃上げを予定している理由は、「従業員のモチベーション向上」(77.7%)が最多で、「人材の確保・採用」(58.8%) が続いています。一方で、「物価上昇への対応」(51.6%)は昨年から26.7ポイントの大幅増となりました。
③最低賃金引上げ
2022年10月の最低賃金引上げ(全国加重平均31円)を受け、「最低賃金を下回り、賃金を引上げた」企業は38.8%でした。 2023年度の最低賃金額の改定について、最低賃金を「引上げるべき」と回答した企業は42.4%となり、「引下げるべき」「現状の金額を維持すべき」と回答した企業(計33.7%)を上回りました。「引上げるべき」とした理由は、「物価が上がっており、引上げはやむを得ないから」(89.3%)が最多となっており、一方で、「引下げるべき」もしくは「引上げはせずに、現状の金額を維持すべき」とした理由は、「景気が回復せず、
企業の支払い能力が厳しい状況にあるから」(60.3%)が最多となっています。
(ニュース/日本商工会議所)
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