岸田首相は9月25日の会見で、10月中の取りまとめを目指す経済対策の骨子を発表しました。
まず、今回の経済対策の二つの大きな目的として、第1に物価高対策、第2にコストカット型経済からの転換を挙げました。特に、第2の目的であるコストカット型経済からの転換については、日本経済が、長年続いてきたコストカット型経済からの30年ぶりの歴史的転換を着実に図れるよう、強力に政策的後押しをしていくとしました。コストカット型経済とは、人への投資、賃金、さらには未来への投資である設備投資や研究開発投資まで、コストカットの対象として削ってきたことで、消費と投資の停滞を招いた「冷温経済」であると評価した上で、活発な設備投資、賃上げ、そして人への投資による経済の好循環を実現し、経済の熱量を感じられる「適温経済」に移行するチャンスを今、迎えているとしました。その上で、今後、3年間を変革期間として、三位一体の労働市場改革や、持続的賃上げを伴う消費の活発化、DX(デジタル・トランスフォーメーション)、またGX(グリーン・トランスフォーメーション)など、未来への投資促進やスタートアップ育成を始めとする、企業の新陳代謝による経済の供給力の強化・高度化などに集中的に取り組んでいくとしています。
具体的な経済対策として、①足元の急激な物価高から、国民生活を守るための対策、②地方、中堅・中小企業を含めた持続的な賃上げ、所得向上と地方の成長の実現、③成長力の強化・高度化に資する国内投資の促進、④人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革の起動と推進、⑤国土強靱化、防災・減災など、国民の安心・安全の確保、を5つの柱として構成するとしています。
また首相は、いわゆる「年収の壁」について、「130万円の壁」に関しては被用者保険の適用拡大を推進するとともに、次期年金制度改革を社会保障審議会で検討中であるとした上で、「106万円の壁」に関しては、人手不足対応等の観点から、当面支援強化パッケージを実施する考えを表明。手取り収入を減少させないための「社会保険適用促進手当」や
賃上げで労働者の収入を増加させる取組を行った事業主に対し、労働者1人当たり最大50万円を支給する助成金の新メニューの創設を表明しました。
(総理の演説・記者会見など/首相官邸)
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