【特集】キャリアアップ助成金・労働時間延長支援コース
- 川西 康夫

- 2025年12月9日
- 読了時間: 4分
~パート従業員の社会保険加入で1人あたり最大75万円助成~
社会保険労務士・人的資本経営コンサルタント 川西 康夫
キャリアアップ助成金の「短時間労働者労働時間延長支援コース」(以下、「労働時間延長支援コース」といいます。)は、社会保険のいわゆる「年収の壁」対策として令和7年7月に新設されたものです。会社が短時間労働者(パート従業員)の所定労働時間を延長して収入を増加させるとともに、新たに社会保険に加入させた場合に助成金が支給されます。
■そもそも社会保険の「年収の壁」とは?
社会保険(厚生年金保険・健康保険)に加入する会社員の配偶者等で年間収入が一定の金額未満の方は、被扶養者(第3号被保険者)に該当し、社会保険料の負担が発生しません。ところが、収入が増加して年収額が一定の金額以上になると、現在の勤務先で社会保険に加入したり、被扶養者に該当しなくなったりして社会保険料の負担が発生することになりますので、手取り額が減らないように出勤を減らすなどして年収額を調整する方がいらっしゃいます。その収入基準額である約106万円や130万円がいわゆる「年収の壁」と呼ばれています。
◆「106万円の壁」 社会保険の特定適用事業所(社会保険適用対象の従業員数が51人以上の企業等)に勤務する場合で、週の所定労働時間が20時間以上(1か月換算で87時間以上)かつ給与月額が88,000円以上(年収換算で約106万円以上)になった場合 ➡ 現在の勤務先で社会保険に加入する必要あり
◆「130万円の壁」 年間収入が130万円以上(60歳以上または障害者の場合は180万円以上)になった場合 ➡ 社会保険の被扶養者に該当しなくなる ➡ 勤務先で社会保険に加入するか、国民年金・国民健康保険に加入する必要あり |
このように、「年収の壁」未満の収入で働いているパート従業員の方が、手取り額が減らないように出勤を減らすなどして働き控えをすることが、働き手が不足する原因のひとつになっているとして問題になっています。そこで、今回新設されたキャリアアップ助成金の労働時間延長支援コースでは、会社がパート従業員の所定労働時間を延長して収入を増加させるとともに、新たに社会保険に加入させた場合に助成金を支給することとしています
■対象となるパート従業員1人あたり最大75万円を助成!
労働時間延長支援コースの対象となるパート従業員は、所定労働時間を延長して社会保険に加入する日の①6か月以上前から継続して雇用されており、②過去6か月間に社会保険の適用要件(週の所定労働時間および月の所定出勤日数がフルタイム従業員の4分の3以上)を満たしておらず、かつ過去2年以内に社会保険に加入していなかった方になります。
さらに、③新たに社会保険に加入するにあたり、手取り額が減少しないように所定労働時間を延長して収入を増加させる必要があります。1年目には、週の所定労働時間を5時間以上延長するか、または週所定労働時間の延長が2時間以上5時間未満の場合は、併せて基本給を5%~15%以上増額することにより助成金が支給されます。また、2年目にも引き続き週所定労働時間を2時間以上延長するか、基本給を5%以上増額すれば、さらに助成金が支給されることとなります。
支給額は、企業規模によって異なりますが、対象となるパート従業員1人あたり、1年目が30万円~50万円、2年目が15万円~25万円となりますので、2年間で最大75万円が支給されることになります。

■1回目の支給申請は社会保険加入の6か月後
労働時間延長支援コースの申請をする場合は、事前にキャリアップ計画書を労働局に提出しなければなりません。遅くとも社会保険加入日の前日までには計画書が労働局に受理されている必要があります。1回目の支給申請は、支給対象期間分(社会保険加入後6か月分)の賃金を支払った日から2か月以内に申請書類と添付書類を労働局に提出することにより行います。2回目の支給申請も基本的な流れは同じですが、支給対象期間は社会保険加入日の1年後から6か月間になります。(了)




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