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【特集】パートタイム・有期雇用のルールが変わります!

執筆者の写真: 川西 康夫
川西 康夫
34 分前
読了時間: 5分

~令和8年10月1日改正、同一労働同一賃金ガイドラインの概要~


社会保険労務士・人的資本経営コンサルタント 川西 康夫

 

 令和8年10月1日よりパートタイム・有期雇用労働者(以下、「パート・有期労働者」といいます。)に関するルールが改正されます。具体的な改正内容は、①雇入れ時の労働条件明示事項に待遇の相違等に関する説明を求めることができる旨を追加すること(パート・有期労働法施行規則の改正)、②「同一労働同一賃金ガイドライン」の改正、③雇用管理の改善等に関する措置内容の変更、の3点になります。今回の特集では、②「同一労働同一賃金ガイドライン」の改正内容について詳しくご紹介します。

 

■そもそも「同一労働同一賃金」とは?

 わが国における「同一労働同一賃金」とは、同一の事業主に雇用される正社員とパート・有期労働者との間にある不合理な待遇差(労働条件の格差)の解消を目指すためのルールであって、「働き方改革関連法」の一環として令和2年4月から順次施行されたものです。

 ここで注意しなければならないのが、「わが国における」という部分です。上記のような「同一労働同一賃金」の定義、すなわち正社員とパート・有期労働者との格差を解消することが「同一労働同一賃金」の実現であるという考え方は、国際的にはまったく通用しない日本独自の定義です。本来の「同一労働同一賃金」とは、「職務内容が同じであれば同じ金額の賃金を支払う」という原則であって、これが国際社会で通用する一般的な定義です。なぜ日本だけが異なる定義になるのか、説明すると長くなるので割愛しますが、ご興味のある方は濱口桂一郎氏の近著「ジョブ型雇用社会とは何か―正社員体制の矛盾と転機」をご一読ください。

 

■「同一労働同一賃金ガイドライン」改正のポイント

 このガイドラインは、正社員とパート・有期労働者との間の待遇差について、何が不合理で、何が不合理でないのかを指針として示したものであり、厚生労働省告示という形式の文書です。したがって、法律や政令・省令とは異なり、この告示そのものに法的拘束力や罰則規定はありません。

 今回の改正では、賞与や退職金、諸手当、福利厚生等に関して、原則的な考え方や具体例等の記載が追加されています。


◆賞与・退職金

 改正前のガイドラインでは、会社の業績等への貢献に応じて支給する賞与については、正社員と同一の貢献があれば同一の、違いがあれば違いに応じた賞与をパート・有期労働者にも支給しなければ

ならないと記載されていました。

 今回の改正では、賞与や退職金には、「労務の対価の後払い、功労報償、生活費の補助、労働者の労働意欲の向上等の様々な性質及び目的が含まれうる」とした上で、その性質及び目的が妥当するにもかかわらず、パート・有期労働者に対して均衡の取れた金額の賞与や退職金を支給せず、その代わりに基本給を高く支給する等の事情もない場合には、不合理な待遇差と認められる可能性がある、との記載が追加されました。それほど断定的ではなく、「可能性がある」という表現になっています。


◆諸手当

 諸手当については、今回の改正で無事故手当、家族手当、住宅手当に関する記載が追加されました。役職手当であって役職の内容に対して支給するものについては、同一の役職には同一の、違いがあれば違いに応じた役職手当を支給しなければならない、と記載されています。その他の手当についても、以下のような条件で支給する場合には、パート・有期労働者に対しても正社員と同一の手当を支給しなければならないとしています。賞与・退職金よりも断定的な表現になっています。

①業務の危険度又は作業環境に応じて支給される特殊作業手当

②交替制勤務などに応じて支給される特殊勤務手当

③業務内容が同一の場合の精勤・皆勤手当

④同一の時間外・休日・深夜勤務を行った場合の時間外・休日・深夜割増手当(割増率)

⑤業務内容が同一の場合の無事故手当【追加】

⑥通勤手当・出張旅費(支給条件は特になし)

⑦相応に継続的な勤務が見込まれる場合の家族手当【追加】

⑧転居を伴う配置の変更(転勤)がある場合に支給される住宅手当【追加】

⑨食事のための休憩時間がある場合に食費の負担補助として支給される食事手当

⑩同一の支給要件を満たす場合の単身赴任手当

⑪特定の地域で働く労働者に対する補償として支給される地域手当


◆福利厚生

 福利厚生についても、福利厚生施設(給食施設、休憩室、更衣室)や転勤者向けの社宅(転勤の有無や扶養家族・収入額等の入居要件を満たす場合)については、パート・有期労働者に対しても正社員と同一の利用を認めなければならないとしています。今回の改正では、福利厚生施設の利用料金・割引率等の利用条件についても、職務の内容等の事情を考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない、との記載が追加されました。具体的にどのような施設を対象としているのかについては記載がありませんが、リゾートホテルや温泉旅館等の宿泊施設、ゴルフ場やスポーツクラブ等のレクリエーション施設を法人会員として利用する場合等を想定していると思われます。

 

■【まとめ】パート・有期労働者の待遇を見直すきっかけに

 この「同一労働同一賃金ガイドライン」には法的拘束力や罰則規定はありませんが、行政官庁による行政指導の根拠にはなり得ますので、事業主としては無視することはできません。今回の改正をきっかけとして、自社のパート・有期労働者の待遇を見直してみてはいかがでしょうか?


事務所だより2026年8・9月号より転載

 
 
 

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